15日の糠平GSでも気になったのだが、日本のFISレースはトップとずいぶんタイム差があるような気がしてならない。例えば糠平GS女子初日のトップは長谷川絵美の2分10秒38。3位の柳原明子の時点で2分12秒56というタイム差である。日本のFISレースはこのようにTOP10の中ですでに2秒、3秒離されるレースが非常に多く、日本国内のFISレースの共通点である。
「トップ10内でタイム差がこれだけ開くのはなぜか?これは日本だけの話だろうか?」
と疑問に思い、大雑把だが1年間の国内・海外のFISレースリザルトをザっと見て「ある点」に気が付いた。それが「日本におけるTOP10内のタイム差」であり、これが日本アルペン界の問題点でもあるような気がする。
■トップ10内で2極化している日本アルペン界■
「2極化」というのは大げさかもしれない・・・がいつもいろんなレースのリザルトを見ていて思うのが、ナショナルチーム勢ばかり上位を占めているのが気にかかる。もちろん実力があるからなのだが、国内で練習する選手達が全日本選手権でもっと勝てる日は来ないのかと疑問に思うこともある。
男子もそうなのだが、海外組(W杯やヨーロッパカップ参戦者)を交えると女子もナショナルチーム勢が上位を占めており、安定感もある。そのため、国内選手との差が明らかにタイム差となってハッキリ出ているのだが、海外組が出場しないFISレースでもTOP10だけ見ると、たった10人の中で2秒、3秒離れているレースが多く見受けられる。上位2.3人だけは別次元というような状況が日本のスキーレースで見受けられ、TOP10内での2極化のような現象が起きている。そう考えると今の日本アルペンスキー界の最大の課題は、国内でのトレーニングでどこまでナショナルチーム勢、トップレベルの選手に迫れるかが最大の課題なのかもしれない。先ほどから海外組・国内組というサッカー日本代表のような表現を使っているが、国内のみでしか練習できない選手と海外を経験する選手の大きな違いの1つに「外国の山」を経験しているか、いないかの違いがある。
過去にウェンゲンやサンモリッツを実際に滑ったが海外の斜面はウネリが激しく、日本にはない環境が海外にはある。斜面変化の連続で次の旗門が見えないという所は1度や2度どころか3度以上やってくる場所もある。そのため日本の山はどうしてもフラットな感じがする。この辺のことはDVD
ワールドアルペンスキーVOL‘2でベンジャミン・ライヒ(AUT)の兄が日本のスキー環境のことについても言及している。日本で高速系の選手がなかなか育たないのも、海外のような山が無いからということもあるかもしれない。また、アイスバーンも日本とは比べ物にならない。そんな難しい斜面をフランスやイタリア、USスキーチームの練習を実際に見たとき、フリースキー1つ見ても他の選手がビビるポイントをなんなく滑っていくのは「さすが」と感じさせる。
環境がすべてではないが、正直環境面で有利なのはナショナルチームだろう。ただ彼らも元々はノーポイントからレースに臨んでおり、誰もが通る道を通ってきている。アルペンとは実力があればある程度まで上位に来れるのは事実だ。だが、問題はその先である。アルペンスキーというスポーツは10秒差から3秒差にまで縮めるよりも、3秒差から1秒差に縮める方が難しいような気がする。そこで気になったのが日本と海外のFISレースの大きな違いに「上位10人のタイム差」が挙げられる。
■日本はタイム差があり、海外は僅差■
リザルトを見ていると海外のFISレースは日本ほどトップとのタイム差が開いていない点が見受けられる。この辺は雪質も影響しているだろう。だが、昨年のヨーロッパは温暖でどちらかというと日本とさほど変わらなかった。ガリガリのアイスバーンのレースもあれば、日本のように荒れるレースも当然ある。そんな中でも海外FISレーストップ10の選手を見ると皆1秒以内もしくは2秒以内でひしめくのだが、日本はトップ3だけが1秒以内で、6位くらいになるとトップと3秒も開いているレースが見受けられる。中には2位の選手でトップと2秒のタイム差が開くというケースもある。海外ではあまり見られないケースが日本では頻繁に見られるのだ。それだけ海外と日本のFISレースの
「TOP10の中身」が違う。
数字だけですべてを語れないのでこの「タイム差」の原因はわからない。精神面、技術、インスペクションの仕方・・・etcと挙げたらキリがないだろう。「選手の実力が足りない」「海外は競争が激化しており個々のレベルが高い」と言えばそれまでなのだが、この日本におけるTOP10のタイム差という「数字」は想像以上に大きな意味があるのではないかと思う。海外が「個々のレベルが高い」のであれば、日本は「個々の差が開きすぎている」ような気がしてならない。この辺の差を埋められればナショナルチーム選手達と互角に戦えるのではないかと思うし、ナショナルチームメンバーも大きく変わり、日本のスキーレベルはもっと上がるだろうと思う。
「あと2秒、3秒がどうしても縮められない。」そんな選手達を数多く見て、辞めていった選手も数多く見てきた。このタイム差はアルペンスキーの世界で最も大きな「壁」なのかもしれない。